恋愛漫画が描けなかった理由
もうはるか昔の話になりますが・・・。
「別冊マーガレット」でデビューさせてもらい、ホラー漫画や友情漫画を何作か描いた後、「なおこさん、さすがにそろそろ恋愛漫画を描いてください」と言われ、めちゃくちゃ困った私
恋愛漫画が嫌いだったわけではなく、むしろ好きだったのに、いざ描こうとすると簡単には描けないものなんですよね。
当時は多分、羞恥心みたいなものもあったと思います。
「ナオコさんって、こういう恋愛したいの~?」みたいに思われるんじゃないかという自意識過剰な羞恥心というか。
あと、「こんな恋愛したいのあなただけよ?」みたいに、受け入れてもらえなかったらどうしようという不安というか・・・。
でも、その2つ以上に私の中にあったのが、「恋」ではなく「愛」を描きたいという思いだったんだと、今になって(どんだけ気づくのおそいんだ!?)分かってきました。
奪い合うような「恋」ではなく、とことん相手を思いやる「愛」って、読み切りとかで簡単には描けないですよ。ホントに。
振り返ってみると私自身、子供の頃からすごく恋愛には冷めてました。
「カッコイイじゃ~ん」って思う人は何人もいましたが、もしお付き合いしたら絶対速攻で嫌いになるだろうなって思っていて。
だから「ファン」にはなっても、それ以上何かしたいとは全然思わなくて。
姉妹で育ったせいもあるのかもしれませんが、憧れていた人の靴下がくさいとか、だらしないとか、そういうのが耐えられなかったんです
っていうか、その程度で嫌いになれる自信があったので、これは本当に好きなわけじゃないなって、自己分析してしまってて。
結婚相手に求めるものも、「離婚するときでもちゃんと逃げずに話し合いができる人」とかサラッと言っちゃってましたからね
そりゃ、そんな私に恋のマンガが描けるわけがないですね
でも最近は、描きたいんですよ。「恋愛漫画」。
というか、「愛漫画」。
私の大好きな歌に福山雅治さんの「最愛」というのがあります。
離れた場所から、相手をそっと見守り続けたいという「愛」。でも、やっぱりさびしくて、本当は側にいたかった、もっと近づきたかったという切なさで溢れた歌です。
こういう「愛」を描きたい
なんなら、キスどころか手さえつながないぐらいの愛。
そんなものはこの世にあるのか?と言われたら、ほぼないんじゃないかと思うから、だからこそ2次元の世界で描く価値があるんじゃないかなって思います。
この年になったらもう、羞恥心もなにもないですしね~
「最愛」を久しぶりに聴きながら、そんなことを思いました
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