第23話-あなたの筋腫は・・・
MRIの画像をみながら、S先生がうなっている。
「う~ん、ここかぁ・・・なるほどはるほど・・・そうだねぇ~・・・う~ん・・・」
私はそんな先生の背中を見ながら、ベッドでお腹をだしてひたすら待つ。
心臓はパンク寸前。体ごと跳ねそうなぐらい大きな鼓動。
振り返った先生がお腹にエコーを当て、赤ちゃんと筋腫の確認。
赤ちゃんは元気いっぱいに飛び跳ねている。
「筋腫は・・・62ミリかぁ・・・先週よりひとまわり大きくなったかな。」
「はぁ・・・」
「よし、内診だ。」
隣の部屋に案内され、そこで下着を脱いで内診。
「う~ん・・・そうだなぁ~・・・」
そこでも先生のため息のようなうなり声が響く。
「コレ、痛い?今筋腫をつかんでるんだけど」
「はぁ、まぁ痛いと言えば痛いですが、飛び上がるほどじゃないです。」
「コレは?」
「同じです。」
「う~ん・・・そうかぁ・・・う~ん・・・じゃあ、おしまいね、診察室でお話ししましょう。」
いよいよである。審判が下る。
手術になったら色々大変だな。どのぐらいの手術で、入院はどのぐらいだろう、どれだけ痛いんだろう、なっちゃんは大丈夫かな、仕事に差し障りはないだろうか、そもそも、赤ちゃんは大丈夫なの?
いろんなことが頭を駆け巡る中、診察室のイスに戻って一呼吸・・・
さあ、もう仕方がない、現実を受け入れよう!と手を握りしめた瞬間、先生が一言
「は?」
思わずイスから乗り出しましたよっ。
そばにいた助産師さんも吹き出してるしっっっ。
「もうひとまわり大きいとか、痛みが強いとか・・・なんかないとねぇ、私も手術のし甲斐がないねぇ。」
ここまで言われたら、私も笑っちゃいました。
ってか「すいません」って思わず言いそうになっちゃいましたよ。
「迫力のある筋腫ってのはねぇ・・・」
そう言うと先生は、これまでに手術した人のMRIの画像をいくつかみせてくれ、
「ね、上には上がいるでしょう。この方なんて痛くて痛くて、術後の痛みなんてそれまでの痛みに比べたらなんでもないって話してたくらいでねぇ」
確かに・・・私は自覚症状ゼロだし、大きさ、形状を比較してみても、私のは圧倒的な個性がないというか・・・なんか「こいつ悪そ~!」ってな感じに欠けるのだ。
今はツッパって悪ぶってるけど、時期が来たらまたいい子に戻りそうな、そんな中学生を彷彿とさせる筋腫である(どんな筋腫だ?)
宿主に似て、この筋腫もきっと小心者なのだ。
・・・てなわけで今のところは「様子を見て可能性にかける」ことになりました。
といっても、結構ギリギリのラインだった気がします。最後に先生が
「私は迷ったらやらない」とつぶやいたのを聞いても、ホント、ギリギリ・・・!
今後、子宮が大きくなっていくのにあわせて筋腫が伸びて平らになって、産道をふさぐことがなくなるよう・・・本当に祈るしかないですね。
あ~疲れた。
ってか、MIRって超狭いですよね!!!
手術もイヤだけどMRIにももう二度と入りたくない!!!
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引き続いての赤裸々報告ありがとうございます!!
心配していたので良い報告が聞けて本当に良かったです。
このまま順調に良い方向に進んで行くことを切に願っております。
しかし先生はユーモアがあって、親しみやすそうですねぇ。
誰かが言っていましたが、名医の条件のひとつに会っただけで患者の気分が良くなること、っていうのがありました。まさにそんな感じの先生ですね。
引き続きおだいじにしてください。
投稿: 湘南の熱い風 | 2010年11月27日 (土) 14時27分
湘南の熱い風さんありがとうごじざいます。
本当にこのまま無事、出産までたどり着けるといいのですが・・・。
名医の条件、その通りですね
医師の腕って、正直素人にはよく分からない部分が多いですが、診察室を出る時にすこしでも気持ちが軽くなっていると、それだけで病院に行った甲斐がある、と思えますもんね。
妊娠経過は不安だらけですが、信頼できる医師にかかれたことだけでも幸運ですよね
投稿: NAOKO | 2010年11月27日 (土) 18時37分
この医師、面白すぎる!
「迷ったらやらない」というのも名言だと思います。
私もかなり昔にMRI入ったことあります。なんか、イラッとしてムカつきました。ストレスたまる空間ですよね(遠い目)。
お大事にしてくださいね。
投稿: Rakan | 2010年11月30日 (火) 23時17分
Rakanさんありがとうございます。
この先生、一見とっつきにくい雰囲気なのがまた面白さを倍増させる、得なキャラ?かもしれません。
MRI、Rakanさんも入りましたかっ。

私は検査の前に何度も「閉所恐怖症じゃないですか?」って聞かれるもんだから余計に怖くなりました
入ってみて実感・・・確かにアレは閉所恐怖症の人にはムリ!
でも、自分は閉所恐怖症ではないというおかしな自信もつきましたけど
Rakanさんもこれから冬本番!お体に気をつけて
投稿: NAOKO | 2010年12月 1日 (水) 11時30分
おひさです。
元気にしてるかな?と思い久しぶりにここを
のぞいてみましたが、おめでとうとお大事にを
両方同時に言わないといかんとは・・・それに
しても、自分の苦境をここまでコミカルに語れ
る強者ぶりには相変わらず感服いたします。
まあ、何はともあれ体を大事にしてください。
良いニュースが聞けることを祈っています。
投稿: こばじ | 2010年12月16日 (木) 18時00分
あら!お久しぶりこばじさん!
そちらも元気にしてた?
もう日本に腰を落ち着けているのかな?
そろそろ昨日の検診の結果をブログに描かなきゃな~と思っていたら久しぶりコメントにびっくり・・・おかげさまでその後は色々順調だよ
私の苦境を笑ってくれる人がいると思えば、
苦境も意味のある苦境になる気がするよね
なんだか助手補時代が懐かしいなぁ。
つわりと家事と育児と仕事の毎日で、今ふっと過去が懐かしくなったよ
自分のことだけ考えていればよかったあの頃・・・楽しかったなぁ・・・いや、そうでもなかったか

少なくとも、小綺麗な服着て仕事に行って、帰りに横浜をブラブラして・・・青春だったことは間違いないわ。遠い目・・・
投稿: NAOKO | 2010年12月16日 (木) 20時44分
近況はおいおいメールででもお伝えしますだ。
あの頃の個人的に一番楽しい思い出は、読者の
ふりして集英社のHPからNaoko先生へのかなり
ネタ臭い励ましのお手紙を送ったら本当に届い
てしまったことですかね。その節は悪ふざけし
て、すみません。
投稿: こばじ | 2010年12月21日 (火) 06時13分
あら、こっちにもコメントいただいてたのね。

ありがとう。
アンケートは何回かお世話になったよね。ありがとね
最近はさすがにサクラをお願いすることはなくなったけど、もしまたどかんと大きいお仕事することになったらお願いします
投稿: NAOKO | 2010年12月21日 (火) 13時36分